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歯並びの種類/過蓋咬合
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過蓋咬合(かがいこうごう)とは
上下の歯を噛み合わせたときに、上の前歯が下の前歯を深く覆い隠してしまう噛み合わせの状態です。
正常な噛み合わせでは、上の前歯が下の前歯をわずかに(2~3mm程度、下の歯の1/4程度)覆っているのが理想とされていますが、過蓋咬合では下の前歯がほとんど見えないくらい深く覆われて噛み合っています。
当院の過蓋咬合の治療例
治療前






治療後






症例分類 | 過蓋咬合 |
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主訴 | 前歯の噛み合わせが深くて、前歯が出ていて歯茎が出る(ガミースマイル)のを引っ込めて、口元を改善したい |
年齢 | 22歳8ヵ月 |
性別 | 男性 |
抜歯部位 | 上顎左右第1小臼歯の2本 |
使用装置 | 歯の表側からのマルチブラケットによる矯正装置 |
治療期間 | 2年7ヵ月 |
保定装置 | 固定式保定装置(舌側)、取り外し式保定装置 |
費用 | 相談料3,240円、検査料37,800円、診断料21,600、動的矯正治療費621,000円、調節量5,400円×14回・5,500円×17回、保定装置料99,000円 |
リスク・注意点 | 下顎に対して上顎骨が大きく前方にあるため、骨格の前後的差異が大きくて上顎前突の骨格である。 顎の大きさと個々の歯の大きさとの不調和により、上顎前歯は唇側に傾斜し下顎前歯は舌側に傾斜していて噛み合わせが深い。 改善には、上顎左右第1小臼歯の2本を抜歯して、この空隙を使って不揃いを改善し、上顎前歯を上後方に後退させて、前歯の噛み合わせを浅くして、歯茎が露出するガミースマイルを改善し、上口唇の後退した口元・側貌の獲得を図った。 矯正での歯の移動のリスクとして歯根吸収、歯肉退縮、歯髄壊死が考えられます。 保定装置の一定期間の装着を怠ると、上顎前歯が出てきたり、前歯の噛み合わせが深くなってくる可能性があります。 |
過蓋咬合の主な特徴
- ・下の前歯が見えにくい、あるいは全く見えない: 噛んだときに、下の前歯が上の前歯によって隠れてしまいます。
- ・下の前歯が上の歯茎に当たる: 程度がひどい場合、下の前歯の先端が上の前歯の裏側の歯茎に食い込み、傷つけたり炎症を起こしたりすることがあります。
- ・奥歯への負担: 噛み合わせが深いため、奥歯に過剰な力がかかりやすく、奥歯がすり減ったり、詰め物や被せ物が外れやすくなったりすることがあります。
- ・前歯への影響: 下の前歯が上の前歯に突き上げる力が加わることで、上の前歯が前に押し出されて「出っ歯」になることや、噛み合わせの負担(咬合性外傷)で前歯の寿命が短くなることがあります。
- ・顎関節症のリスク: 噛み合わせが深いことで下顎の動きが制限され、顎関節に負担がかかりやすくなり、顎関節症(顎の痛み、開口障害など)を引き起こす可能性が高くなります。
- ・審美的な問題: 笑ったときに上の歯茎が過剰に見える「ガミースマイル」の原因になったり、口元が不自然に見えたりすることがあります。
過蓋咬合の原因
過蓋咬合の原因は様々です。
- ・遺伝的要因: 顎の骨格や歯の大きさ、生え方などが遺伝的に影響している場合があります。
- ・顎の骨の成長バランスの異常: 上顎が過成長したり、下顎の成長が不足したりすることで、噛み合わせが深くなることがあります。
- ・歯の生え方の問題: 奥歯の高さが不足している、あるいは前歯が長く伸びすぎていることなどが原因となることがあります。
- ・乳歯の早期喪失: 虫歯などで乳歯を早期に失うと、その後の永久歯の生え方に影響し、過蓋咬合につながることがあります。
- ・癖: 歯ぎしりや食いしばり、下唇を噛む癖なども、噛み合わせに影響を与えることがあります。
過蓋咬合の治療
過蓋咬合は放置すると様々な問題を引き起こす可能性があるため、適切な矯正治療が推奨されます。治療方法は、年齢や症状の程度、原因によって異なります。
歯の圧下(あっか)
- ・上の前歯や下の下がった前歯を歯茎の方向に沈み込ませることで、噛み合わせを浅くします。
歯の挺出(ていしゅつ)
- ・奥歯を引き出して高さを出すことで、全体の噛み合わせを調整します。
顎の成長誘導(小児の場合)
- ・成長期であれば、顎の成長をコントロールする装置を用いて、顎のバランスを整えます。
外科的矯正治療(重度の場合)
- ・骨格的な問題が大きい場合は、外科手術と矯正治療を組み合わせることもあります。
まとめ
過蓋咬合は見た目の問題だけでなく、口腔機能や全身の健康にも影響を及ぼす可能性があるため、気になる場合は歯科医師(特に矯正歯科医)に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。